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所得税の基礎控除の見直しなどについて

当記事は青色申告会の役職員の研修用に配布された資料を転載したものです。
(令和7年8月1日公開)
令和7年度税制改正で所得税の非課税限度額、いわゆる103万円の壁の引き上げが議論され、基礎控除や給与所得控除の見直しなどがおこなわれました。
改正は、所得税が令和7年分から個人住民税が令和7年の収入で課税される令和8年度分から、それぞれ適用されます。

1.基礎控除の見直し

(!)個人住民税は改正されません
 合計所得金額2,350万円以下の居住者は、所得税の基礎控除額が引き上げられました。
所得税の基礎控除の見直しについて 改正前と改正後の比較表
※1 合計所得金額が2,350万円超の場合の基礎控除額に改正はありません。
※2 個人住民税の基礎控除額の見直しはありません。従来と同じ最高43万円です。

2.給与所得控除の見直し

(!)個人住民税も同様に改正されます!
 給与等の収入金額が190万円以下の方は、給与所得控除額が引き上げられました。
所得税の給与所得控除の見直しについて 改正前と改正後の比較表
※1 給与等の収入金額が190万円超の場合の給与所得控除額に改正はありません。
※2 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例についても、必要経費に算入する金額の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。

3.扶養親族等の所得要件の改正

(!)個人住民税も同様に改正されます!
 基礎控除額の引き上げにより、次のとおり扶養親族等の所得要件が見直されました。
扶養親族等の所得要件の改正について 改正前と改正後の比較表
(注)ひとり親の生計を一にする子については、総所得金額等の合計額になります。

4.特定親族特別控除の創設

(!)個人住民税も改正されます!
 大学生世代の子ども等を持つ親の税負担を軽減し、アルバイトをする子ども等の就労調整問題に対応するために、特定親族特別控除が創設されました。
特定親族特別控除の創設 所得別控除額表
 特定親族とは、居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、青色事業専従者、白色事業専従者を除く)で、合計所得金額が58万円超123万円以下の人をいいます。
合計所得金額が58万円以下の場合は、特定扶養親族として扶養控除63万円が適用されます。

参考資料

①103万円の壁の引き上げ(非課税限度額)について

 次の表は、単身の居住者が給与収入だけのときに税金がかからない限度額(非課税限度額)です。所得税と個人住民税の所得割とでは非課税限度額が異なります。
 専従者給与(賞与を含む)の支給額を変更する場合は、ご所属の青色申告会にご相談ください。

103万円の壁の引き上げについて 所得税と個人住民税の改正前後の比較表
※ 個人住民税所得割の基本額等は条例で定められます。均等割非課税限度額は、市区町村によって異なります。詳しくは、市区町村のホームページ等でご確認ください。

②令和7年分の源泉徴収への適用について

 令和7年分の源泉徴収への税制改正の適用は、次のとおりです。
❏ 給与所得者
令和7年中に支給する給与等に使う「令和7年分源泉徴収税額表」は、令和6年分と同じ内容です。年末調整において税制改正を反映した年税額を計算し、すでに源泉徴収した税額と精算します。年末調整が受けられない場合は、確定申告で精算します。

❏ 公的年金等受給者
令和7年10月までの年金支給は税制改正を反映した源泉徴収はおこなわれず、令和7年12月の年金支給で税制改正を反映した年税額を計算し、すでに源泉徴収した税額と精算します。「3.扶養親族等の所得要件の改正」や「4.特定親族特別控除の創設」の適用を受ける場合は、原則として確定申告で精算します。
※ 国税庁ホームページの特設サイト「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」に源泉徴収事務に関する各種情報が掲載されています。