12・1月号

令和7年分決算準備のポイント[2025年12月・2026年1月号]

令和7年分の決算に向けて準備をすすめましょう。パソコン会計でも手書き帳簿でも基本は同じです。

記帳のモレや誤りがないかを確認する

1年間の記帳内容を確認します。記帳のモレや誤りがあれば、記帳の追加や修正をおこないます。
※1 確認方法として、①取引相手から交付された領収書などの取引書類と突き合わせる、②預貯金通帳の残高や請求書に記載された買掛金残高などとその時点の帳簿残高を突き合わせる、③各月や1年間の取引金額を集計して例年とくらべて妥当であるかをみるなどの方法があります。
※2 現金の帳簿残高と手元あり高の突き合わせは、入出金の記帳のたびにおこないます。現金は、帳簿残高がマイナスになることはありません。
消費税の課税事業者の方は、申告方法(一般課税・簡易課税・2割特例)に適した消費税の記帳(税率に応じた区分経理や課税区分など)をしているかも確認します。
※3 一般課税で申告する場合は、インボイス発行事業者以外からの仕入や経費の把握も必要です。

棚卸表を作り、売上原価などを計算する 

令和7年の経費になる「商品など」の売上原価や「消耗品など」の消耗品費は、図表1のとおり、一年間の仕入高や購入高に年初と年末の棚卸高を加減して計算します。
※4 「商品など」は商品・製品・半製品・仕掛品・原材料・副産物・仕損じ品・作業くず、「消耗品など」は事務用品などの消耗品、未使用の包装材料、使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の工具・器具・備品などの資産で未使用のものです。
年初の棚卸高は前年末の棚卸高です。年末の棚卸高は種類・品質・型などに分けて実地に棚卸しをし、それぞれの12月31日現在の棚卸高(棚卸数量×単価)を棚卸表にまとめて集計します。
※5 実地棚卸しを12月31日の前後にする場合は、実施日と12月31日との間の取引などから12月31日現在の在庫数量を計算します。なお、商品有高帳を作って日々の受け払いを記録し、毎年一定の時期に実地棚卸しをして内容を確認している場合は、年末の棚卸しを省略して商品有高帳の期末残高を在庫数量とすることができます。
※6 消耗品のうち、毎年おおむね一定数量を買って経常的に使い、年末の棚卸数量が通常の年にくらべてとくに増えていないものは、継続的な適用を前提として、棚卸しを省略してその年の購入高を経費にすることができます。
棚卸高の単価は、年の最後の仕入(取得)のときの単価とする最終仕入原価法で計算します。災害でいちじるしく損傷したり、棚ざらしや流行遅れなどでいちじるしく陳腐化したりして、通常の価額で販売できないものや通常の方法で使えないものは、12月31日現在の処分可能価額とすることもできます。
※7 棚卸資産の評価は、あらかじめ税務署へ評価方法(先入先出法や総平均法、売価還元法、低価法など)を届け出ているときはその方法、届け出ていないときは最終仕入原価法で計算します。

本年分の収入や経費を計上する

令和7年分の収入とするべき金額や収入を得るために直接かかった経費の金額を計上します。主なものは次のとおりです。
① 売掛金、買掛金、未払金の計上
商品やサービスなどが引き渡されて代金が確定しているのに、年末までに代金の受け取りや支払いを終えていないために記帳していない売上や仕入、経費があれば、本年分の取引として記帳します。その未精算の金額が売掛金、買掛金、未払金です。
② 前受金、前払金の計上
代金の受け取りや支払いを終えて記帳してある収入や経費のうち、商品やサービスなどが引き渡されていない部分の金額、来年以降に対応する前受した金額(前受賃貸料など)や前払いした金額(前払保険料など)があれば、本年分の収入や経費から除きます。その金額が前受金、前払金です。
③ 自家消費の計上
商品などの棚卸資産を業務や家事に使う自家消費は、収入に計上します。原則は、その商品の通常の販売価額を収入金額としますが、「通常の販売価額の70%」と仕入金額のいずれか大きい方の金額を収入金額とすることもできます。業務に使ったときは同額を該当する経費に計上します。
④ 家事関連費のあん分
店舗や事業所を併用する住宅の賃借料や水道光熱費、車両関係費など、業務と家事の両方にかかわる支出である家事関連費は、取引記録などにもとづき、業務に直接必要なことが明らかにできる部分の金額を経費にすることができます。面積、時間、量、距離などの適切な基準によって家事分を計算(家事あん分)して、経費から除きます。
※8 家事あん分は、家事関連費を支出するつどあん分する方法と、決算で1年分の家事関連費を一括してあん分する方法があります。
⑤ 修繕費と資本的支出の計上
業務に使う固定資産などの通常の維持管理や修理のための修繕費は経費になります。しかし、修理や改良などにより資産の使用可能期間が延びたり、価値が増したりしたときは、その支出した金額を資本的支出とします。その場合は、資本的支出をした資産と種類および耐用年数が同じ減価償却資産をあらたに取得したものとみなして、減価償却費を計上します。
※9 資本的支出になる修繕であっても、ひとつの資産に支出した金額が年間20万円未満のとき、おおむね3年以内の周期でおこなう修繕のときなどは、修繕費にしても差し支えありません。
⑥ 減価償却資産の売却
車両運搬具や器具・備品などの減価償却資産の売却代金は、下の※10の場合を除いて、譲渡所得の収入金額になります。
※10 少額な減価償却資産(取得価額が10万円未満のものや使用可能期間が1年未満のもの)、一括償却資産(図表2参照)としたものなどの売却代金は、事業所得などの収入金額になります。
※11 年の途中で譲渡した減価償却資産のその年の減価償却費は、譲渡所得で取得費として控除するか、事業所得などの経費にすることができます。
⑦ 減価償却資産の取得
本年中に取得した使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、取得価額をその年の経費(消耗品費や雑費、備品費など)にできます。使用可能期間が1年以上の減価償却資産は、図表2のとおり、取得価額に応じて取り扱います。
※12 取得価額は、資産の本体価格に加えて、使い始めるまでにかかった費用を含めます。自動車の購入であれば、納車費用や自動車取得税などの一時的な支出は取得価額です。自動車税や保険料など定期的な支出はその年分を租税公課や支払保険料などの経費に、リサイクル預託金は将来の費用の前払い分で資産にします。中古の自動車を取得した際に、前所有者が支払った自動車税の未経過分を支払う場合、その金額は取得価額に含めます。
⑧ 貸倒損失
売掛金や未収金、貸付金、前渡金など事業を遂行する上で生じた債権が、倒産などで相手先が支払い能力を失ったために回収不能となった場合は、その金額を回収不能となった年の貸倒損失として経費にします。※13将来の事業上の債権の貸倒れによる損失に備えるために、一定の金額以下の金額を貸倒引当金に繰り入れることができます。
⑨ 事業上の損害や損失の処理
災害などで事業用の棚卸資産、建物・機械・装置・器具・備品などの固定資産などが滅失や損壊したとき、それらの資産を取り壊したり、廃棄したりしたときは、取り壊しやかたづけの費用などを含めて、その損失額をその年分の経費とします。
※14 被災したときの税務上の取り扱いについて、詳しくは国税庁のホームページ「災害関連情報(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/index.htm)」または最寄りの税務署でご確認ください。
他者が原因で、店舗が壊れたり、棚卸資産などに損失が生じたりしたときは、受け取った保険金や損害賠償金、休業などによる収益減の補償として受け取る補償金などを、収入(区分はその他の収入)に計上します。そして、その損害による支出(修繕費、廃棄費用など)や補てんされた支出(ケガをした従業員の給与など)がある場合には、それらの金額を経費とします。
※15 交通事故などによる損害があって業務に従事できなかった場合に収益の補償として受け取る損害賠償金や慰謝料は、収入金額には含めません。所得税法上の非課税所得になります。

決算整理後の一覧表を作成する

売上などの収入、仕入や経費の金額を集計して、月別総括集計表、試算表、精算表などの一覧表にまとめます。金額に誤りがないかを確認します。

[カテゴリ:確定申告,所得税,決算,帳簿][2025年12月・2026年1月号 4-6ページ掲載記事]
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