12月特別版

経済産業省「小規模企業等に係る税制のあり方の検討」などを要望[2020年12月特別版]

令和3年度税制改正に向けて、各省庁の税 制改正要望が取りまとめられました。経済産業省は「小規模企業等に係る税制のあり方の検討」と「個人版事業承継の対象資産の見直し」を要望しました。

■ 与党税調で引き続き検討

令和元年12月12日に発表された令和2年度与党税制改正大綱の検討事項で、全青色が要望する青色事業主勤労所得控除は「小規模企業等に係る税制のあり方については、働き方の多様化を踏まえ、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、引き続き、給与所得控除などの『所得の種類に応じた控除』と『人的控除』のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する」とされました。

■ 各省庁の令和3年度税制改正要望

各省庁は、新型コロナウイルス禍での「新たな日常」を支える税制、デジタルトランスフォーメーション(ITによる社会変革)を進展させる税制など、令和3年度税制改正要望を提出しました。
経済産業省からは、前述の令和2年度税制改正大綱に対応し、「小規模企業等に係る税制のあり方の検討」が要望されました。具体的には「個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、今後の個人所得課税改革において所得の種類に応じた控除と人的な事業に配慮した控除の役割分担を見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する」ことを内容としています。
また、個人版事業承継税制については「対象となる特定事業用資産の緩和、その他の所要の見直しを行うこと等により、制度の更なる活用促進を図る」と要望しました。

■ 青色事業主勤労所得控除の実現に向けて

アルバイトやパートを含めて給与所得者には給与所得控除が適用されます。給与所得控除は「勤務費用の概算控除」と「他の所得との負担調整のための特別控除」の性格をもつと政府税調の答申などで指摘され、後者は個人の勤労に対する配慮ともいわれています。個人事業主の所得にも勤労性所得があることは明らかです。働き方の違いによって勤労性に対する評価が異なり、税負担に差が生じることは、公平であるとはいえません。全青色は、誠実に申告納税をおこなう青色事業主にたいして、その所得の勤労性を税法上に認める青色事業主勤労所得控除の早期実現を求めています。

■ 事業に使う車両運搬具を広く対象に

個人版事業承継税制の対象となる自動車は現在、 ①自動車税などで営業用の税率が適用されるバス・タクシー・トラックなど(緑ナンバー、黒ナンバー)、②前記以外の自動車(白ナンバー、黄色ナンバー)で、貨物運送用のトラック、散水車などの特殊自動車、定員11人以上のバスなどのナンバープレート上で識別可能な車種に限定されています。全青色では、前述の①②以外で事業に使う自家用登録の乗用車や軽トラックなどの車両運搬具を特定事業用資産の対象とするよう、適用範囲の拡充を求めています。
[カテゴリ:税制改正,経済産業省][2020年12月特別版 2ページ掲載記事]
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