9・10月号

新型コロナウイルス感染症対応 個人事業主に対する支援(続報)[2020年9・10月号]

新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響を受けた個人事業主に対する主な支援策について、追加・変更内容をまとめました(令和2年7月28日現在)。

■ 各種の給付金の課税関係(国税・地方税)

感染症に関係して、国や都道府県・市区町村などから受給する給付金、協力金、見舞金など(以下、給付金という)は、税法上、その支援の対象者や目的などにより課税関係が異なります(関連リンク1⃣および図表1参照)。

1⃣ 国税庁ホームページ 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(問い9に掲載)
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/05.htm#q5-9)

◇ 課税対象となる給付金
次のような給付金は所得税などでは課税となります。なお、給付金は「資産の譲渡」に該当しませんので、消費税は不課税となります。
①事業所得などに区分されるもの
事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金など必要経費に算入すべき支出の補てんを目的として支給するものなど、事業に関して支給される給付金
具体的には次のようなものがあります。
◎持続化給付金(事業所得の方)
◎家賃支援給付金(事業所得の方)
◎東京都などの感染拡大防止協力金
◎小学校休業等対応助成金
◎小学校休業等対応支援金(事業所得の方)
◎雇用調整助成金
◎肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
※ 助成金の支給額を含めた1年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合などには、税負担は生じません。また、支払賃金などの必要経費を補てんするものは、支出そのものが必要経費になります。
②一時所得に区分されるもの
臨時的に一定の所得水準以下の方に対して支給するなど、事業に関連しないもので一時に支給される給付金
具体的には次のようなものがあります。
◎持続化給付金(給与所得の方)
◎小学校休業等対応支援金(給与所得の方)
◎すまい給付金
◎地域振興券
※ 一時所得については、所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得とされる金額との合計額が50万円を超えない限り、課税対象になりません。
③雑所得に区分されるもの
①と②以外のもの
具体的には次のようなものがあります。
◎持続化給付金(雑所得の方)
◎持続化給付金(雑所得の方)
◇ 課税対象とならない給付金
次のような給付金は非課税となります。
①支給の根拠となる法律などにより非課税となる給付金
②所得税法の規定により非課税となる「学資として支給される金品」「心身または資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金」
具体的には次のようなものがあります。
◎特別定額給付金
◎子育て世帯への臨時特別給付金
◎雇用保険の失業等給付
◎生活保護の保護金品
◎児童(扶養)手当
◎被災者生活再建支援金
◎簡素な給付措置(臨時福祉給付金)
◎子育て世帯臨時特例給付金
◎年金生活者等支援臨時福祉給付金
※ ここに記載がない給付金や支援金などの課税関係については、その支給元である国や地方自治体の窓口にご確認ください。

■ 家賃支援給付金

感染症の影響により事業などの収入に相当の減少があった個人事業主などのうち、土地や建物などを賃借する事業者は、申請により地代・家賃の負担を軽減する家賃支援給付金が給付されます。
※ この給付金は事業などの総収入金額に含まれます。
◇ 対象となる事業者(個人の場合)
令和2年5月から12月の間で、いずれか1か月の事業収入が前年の同月に比べて50%以上減少、または連続する3か月の事業収入の合計が前年の同期間に比べて30%以上減少した事業者が対象となります。
※ 令和2年1月から3月までに創業した事業者や主たる収入を雑所得または給与所得として確定申告している方については、現在詳細を検討中です。
※ 次のいずれかにあてはまる事業者は、給付の対象になりません。
・「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に定める「性風俗関連特殊営業」、当該営業に係る「接客業務受託営業」をおこなう事業者
・宗教上の組織もしくは団体
・前2項に掲げる者のほか、給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと中小企業庁長官が判断する者
◇ 対象となる賃料など
事業用の地代・家賃として税務申告しているなど、申請者自らの事業のために使用・収益する土地・建物の賃料などが対象となります。
※ 共益費と管理費は賃貸借契約書に賃料とあわせて記載されている場合は対象になります。電気代・水道代・ガス代、保険料、敷金・保証金、更新費、礼金などの費用・支出は、賃貸借契約書に賃料として一括計上されている場合などを除いて、対象になりません。
※ 賃料および共益費・管理費には消費税を含みます。
※ 住居兼事業所については、事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみが給付の対象になります。
※ 給付の対象となる賃貸借契約は、令和2年3月31日時点および申請時点で有効であり、申請日より直前3か月間の賃料の支払いの実績があることが条件となります。なお、賃貸借以外の形式により土地・建物を使用・収益する契約も給付の対象となる場合があります。
※ 転貸(又貸し)を目的とした取引、賃貸人と賃借人が実質的に同じ人物の取引(自己取引)、賃貸人と賃借人が配偶者または一親等以内の取引(親族間取引)などによる契約は給付の対象となりません。
◇ 給付額(個人の場合)
給付率は、申請日の直前1か月以内に支払った賃料の3分の2、給付上限額(月額)は25万円とし、6か月分(上限150万円)が給付されます。賃料の総支払い額が37.5万円を超えるときは37.5万円を超える金額について3分の1が給付され、給付上限額(月額)が50万円(6か月分上限300万円)に引き上げられます(図表2参照)。
※ 申請者が感染症の影響などで地方自治体から賃料にあてるための支援金を受給している場合で、家賃支援給付金の受給予定額と地方自治体の支援額の合計が、給付額の算定基礎となった賃料(月額)の6倍を上回るときは受給予定額から超過額が減額されます。
◇ 必要書類
青色申告をおこなう個人事業主が申請するときには、次の書類などが必要です。
①令和元年分の確定申告書第一表の控え
②所得税青色申告決算書(1・2ページ)の控え
③売上が前年から減少した対象月の月間事業収入がわかる帳簿など
④賃貸借契約の存在を証明する書類(賃貸借契約書の写し)
⑤申請時の直近3か月分の賃料の支払い実績を証明する書類(銀行通帳や振込明細書の写しなど)
⑥支援金の振込先口座を確認する書類(申請者名義の通帳の写し)
⑦本人を確認する書類(運転免許証・マイナンバーカードなど写真付きの証明書の写し)
※ ①の確定申告書第一表の控えは、税務署や青色申告会などの収受日付印の押印が必要です(イータックスの場合は受信通知を添付)。収受日付印と受信通知のいずれもない確定申告書の場合は、納税証明書(その2所得金額用)をあわせて提出すれば、受理されます。
◇ 申請方法
令和3年1月15日までに、家賃支援給付金ホームページ(関連リンク2⃣参照)から電子申請をおこないます(マイナンバーカードを使った電子署名は不要)。
ご自身で電子申請をおこなうことが困難な方には、申請サポート会場が開設されます。利用には事前予約が必要です。事前予約をおこなわずに来場しても、サポートは受けられませんのでご注意ください。
予約は、家賃支援給付金ホームページ(関連リンク2⃣参照)のトップページ「申請サポート会場」から希望する会場を検索して、「予約する」をクリックします。希望日時を選択して氏名、電話番号、メールアドレスなどの必要事項を入力し、予約します。
インターネットを利用した予約が難しい方は、申請サポート会場電話予約窓口に電話して予約します。
2⃣ 家賃支援給付金ホームページ
(https://yachin-shien.go.jp/)
 家賃支援給付金申請サポート会場 電話予約窓口
 フリーダイヤル 0120-150-413
 受付時間 平日・土日祝日 9:00~18:00

◇ お問い合わせ
詳しくは、家賃支援給付金ホームページ(関連リンク2⃣参照)でご確認いただくか、家賃支援給付金コールセンターにお問い合わせください。
2⃣ 家賃支援給付金ホームページ
(https://yachin-shien.go.jp/)
 家賃支援給付金 コールセンター
 フリーダイヤル 0120-653-930
 受付時間 8:30~9:00
 8月まで平日・土日祝日、9月から平日・日曜日

■ 事業用家屋・償却資産の固定資産税、事業用家屋の都市計画税の軽減

感染症の影響により事業などの収入に相当の減少があった個人事業主などは、申請することで、令和3年度課税の1年分に限り、事業用家屋・償却資産に係る固定資産税、事業用家屋に係る都市計画税が軽減されます。
※ 令和2年度課税の固定資産税と都市計画税は、収入に相当の減少がある場合に納税の猶予制度の特例の対象になり、担保・延滞税が不要で1年間猶予されます。
◇ 対象となる事業者(個人の場合)
令和2年2月1日から10月31日までの任意の連続する3か月の事業収入の合計が、前年の同期間に比べて30%以上減少した事業者が対象となります。
※ 常時使用する従業員の数が1000人以下でなければなりません。また、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に定める「性風俗関連特殊営業」をおこなう事業者は該当しません。
※ 事業収入には、給付金や補助金収入、事業外収益は含みません。
◇ 減免率
減免率は、令和2年2月1日から10月31日までの任意の連続する3か月の事業収入の合計が、前年の同期間に比べて30%以上50%未満減少している場合は2分の1軽減、50%以上減少している場合は全額免除になります。

◇ 必要書類
青色申告をおこなう個人事業主が申請するときには、次の書類などが必要です。
①令和元年分の確定申告書第一表の控え
②所得税青色申告決算書の控え
③売上が前年から減少した対象月の月間事業収入がわかる帳簿など
④対象資産の一覧や対象家屋の事業用割合を示す書類(青色申告決算書など)
※ 収入減に不動産賃料の猶予が含まれる場合は、猶予の金額や期間等を確認できる書類が別途必要です。
◇ 申請方法
あらかじめ、認定経営革新等支援機関等(中小企業庁が認定した経営革新等支援機関、都道府県中小企業団体中央会、商工会議所、商工会、税理士、青色申告会など)で、前記の必要書類の確認を受けて申告書を作成します。令和3年1月1日から1月31日までに、申告書と確認を受けた必要書類をあわせて、固定資産税を納付する市町村に提出します。

◇ お問い合わせ
詳しくは、中小企業庁ホームページ(関連リンク3⃣参照)でご確認いただくか、固定資産税等の軽減相談窓口にお問い合わせください。
3⃣ 中小企業庁ホームページ
新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・ 小規模事業者に対して固定資産税・都市計画税の減免を行います

(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html)
 中小企業 固定資産税等の軽減相談窓口
 0570-077-322
 受付時間 平日 9:30~17:00
[カテゴリ:新型コロナウイルス関連,経済産業省,厚生労働省,国税庁][2020年9・10月号 4-8ページ掲載記事]
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