日々の記帳について

青色申告者の記帳とは

青色申告をおこなうためには、納税地(原則として住所地)の税務署に定められた期限までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。承認を受けた後は、「正規の簿記の原則(一般的には『複式簿記』)または『簡易簿記』」により日常の取引を正確に記帳し、その帳簿書類等を一定の期間保存しておく必要があります。

【複式簿記】

現金の出入りだけではなく、資産や負債の動きも同時に記録することができるために、損益計算書(1年間の経営成績)と貸借対照表(財政状態)を作成することができます。
各地の青色申告会では複式簿記の講習会を開催しています。複式簿記を始めるときや、複式簿記に不安があるようなら、お近くの青色申告会に相談してみましょう。

【簡易簿記】

家計簿やこづかい帳と同じ形式で、現金取引を中心に売上げ、仕入れ、経費の動きを取引内容に応じた専用の帳簿(簡易帳簿)に記帳します。複式簿記のように貸借対照表を作成することはできません。

青色申告者の記帳のポイント

青色申告は、「事業の会計(店)」と「家計(奥)」を明確に区分し、正確な記帳にもとづいておこなわれる申告です。
それぞれの現金や預貯金を区別し、事業の取引、そして事業と家計との間の金銭等の動きを記帳します(下図の)。日々の取引を毎日記帳するよう心がけ、その取引の証拠となる領収書や請求書等の証拠書類も忘れずにファイル等に綴じ込んでおきましょう。

取引の流れ

(1)現金や預貯金の管理

1日分の記帳が終わったら、現金取引を記入した帳簿の残高と手元にある現金の実際の残高を突き合わせてください。もし、金額が一致しない場合は、記帳モレや誤記入がありますので、その原因を明らかにして記帳します。また、預貯金についても帳簿残高と金融機関の発行する通帳に記載された実際残高をもとに突き合せします。
なお、預貯金は家計用の口座とは別に事業用の口座を設けることで(例えば、口座名義人「青色商店 代表 青色太郎」)、家計の預貯金の動きを記帳する必要がなくなり、明確に事業会計と家計を区分することができます。

(2)家事関連費と家事按分

住居費・食費・水道光熱費などの生活費、医療費、娯楽遊興費などは家のこと(家事)に関する費用(家計費)で、事業上の経費(必要経費)にはなりません。しかし、業務上の経費として支払う金額に、家事部分が含まれている場合があります。たとえば、住居兼店舗の地代家賃や水道光熱費には、必要経費部分と家事分が含まれます。このように家事分を含む費用を家事関連費といいます。家事関連費は合理的な基準により、家計費部分の金額を計算して、この金額を必要経費から除きます。これを家事按分(かじあんぶん)といいます。家事按分には、支払いのつどおこなう方法と毎回全額を経費に計上して決算時に一括して按分する2つの方法があります。

(3)「事業主貸」と「事業主借」

「事業主貸」および「事業主借」勘定を使って事業の会計と家計とを区分します。事業の会計から除外して家計に振り替える場合は「事業主貸」勘定を使い、逆に家計から事業の会計に計上する場合は「事業主借」勘定を使います。
なお、事業主貸と事業主借の年末残高は、翌年に繰り越すさいに元入金(いわゆる資本金に相当する勘定科目)で相殺します。

「事業主貸」と「事業主借」
【事業主貸の具体例(複式簿記)】
借方貸方内容
事業主貸現金事業の会計から生活費に充当
事業主貸普通預金所得税が事業用口座から振り替えられた
事業主貸水道光熱費家事関連費(水道光熱費)の家事按分
【事業主借の具体例(複式簿記)】
借方貸方内容
現金事業主借家計から事業資金を捻出
消耗品費事業主借家計から事業用の消耗品を購入した

保存が必要な帳簿書類等一覧

青色申告者が保存しておく必要がある帳簿種類等は次のとおりです。

区分 帳簿書類の具体例 保存期間
帳簿複式簿記仕訳帳、総勘定元帳など7年
簡易簿記現金出納帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳など(小規模事業者※は5年)
決算関係書類青色申告決算書、棚卸表など7年
現金・預金関係書類領収書、預金通帳、小切手帳、借用書など7年
(小規模事業者※は5年)
その他の書類納品書、請求書、送り状、見積書、契約書、領収書控えなど5年
小規模事業者とは、前々年分の不動産所得の金額および事業所得の金額(青色事業専従者給与の必要経費算入前の金額)の合計額が300万円以下の青色申告者で「小規模事業者の収入および費用の帰属時期の特例」の適用を受けることの承認を得て、現金主義により記帳することができる人です。

個人事業主の消費税

前々年(基準期間)の売上げ(課税売上高)が1,000万円を超えると、その年(課税期間)に消費税の申告が必要になります。消費税は、所得税のように延納制度がありません。振替納税の利用や定期的に納税準備預金をおこなうなど、一括納税のための準備を心がけましょう。
消費税の申告のためには税務署への各種届出、記帳方法、納税額の計算方法の理解が欠かせません。消費税に不安がある個人事業者の方は、まず青色申告会で相談してみましょう。

※個人事業主の方は、平成28年分消費税確定申告から簡易課税の事業区分が一部変更されています。

よく使われている勘定科目(事業所得用)

次の表は、お店で商品を販売している事業において、よく使われる収入と必要経費の勘定科目です。表中の「※」が付いている必要経費は、多くの場合、家事按分の必要があります。注意しましょう。
各地の青色申告会では「複式簿記」について講習会を開催しています。「簡易簿記」の方の記帳についても相談できます。記帳内容や勘定科目に不安がある場合はお近くの青色申告会に相談してみましょう。

収入
科目 内容
売上 商品の売上げ、自家消費(事業用・家事用)
雑収入 空箱、ダンボールなどの売却収入
必要経費
科目 内容
仕入 商品の仕入れ
租税公課 ①事業税・固定資産税※・自動車税※、印紙税などの税金、②青色申告会・商店会等の会費や組合費
注) 所得税・復興特別所得税、相続税、住民税、国民健康保険税・料、国民年金保険料、国税・地方税の延滞金・加算金、罰金、科料、過料、交通反則金などは経費になりません。
荷造運賃 荷造りのための費用、運賃
水道光熱費 水道料、電気代、ガス代、灯油などの購入費※
旅費交通費 電車賃、バス代、タクシー代、宿泊代など
通信費 電話料※、切手・はがき代、電報料
広告宣伝費 チラシや折り込み広告の費用、広告用の名入ライターやカレンダー・うちわ等の費用、ショーウィンドウの陳列装飾のための費用
接待交際費 祝金・見舞金・香典・餞別等の現金支出、お歳暮・お中元・祝品・商品券・果物・生花・花輪代等の贈答品の購入費、飲食接待等の支出
注) 相手方や支出の理由などが事業を営むうえで通常必要と認められる金額のみです。
損害保険料 火災保険料※、自動車の損害保険料※
修繕費 店舗、自動車、機械、器具備品などの修理費※
注) 【資本的支出】修理等をおこなうことで、その資産の使用可能期間が延長した場合や価値が増加した場合には、その金額を資本的支出として修繕費から除き減価償却資産にする場合があります。ただし、その判定は決算のときまで保留しても結構です。
消耗品費 ①帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費、②使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品等の購入費
注) 【減価償却資産】購入した什器備品等の使用可能期間が1年以上で取得価額が10万円以上の場合等については、原則として、その金額を法定耐用年数の間にわたって経費とする減価償却という決算手続きが必要です。
減価償却費 減価償却資産のその年分の減価償却費※
福利厚生費 ①従業員の慰安、医療、衛生、保健などのために事業主が支出した費用、②事業主が従業員に対して負担すべき健康保険、厚生年金、雇用保険等の保険料や掛金
注) 【青色専従者】従業員に青色事業専従者は含みません。従業員と青色事業専従者の双方を同様に取り扱う場合は、青色事業専従者分の経費も福利厚生費に含みます。
給料賃金 従業員の給料、賃金、退職金、食事や被服などの現物給与
注) 【青色専従者】従業員には青色事業専従者は含みません。青色事業専従者の給与は次の青色専従者給与の科目を使用します。
専従者給与 青色申告者が青色事業専従者に支払う給料(届出が必要)
外注工賃 加工や施工等を外部に依頼して支払った加工賃や手間賃
利子割引料 事業用の借入金に支払った利子や受取手形の割引料など
地代家賃 店舗、事務所、工場、倉庫等の敷地の地代※や建物の賃借料※
貸倒金 売掛金、受取手形、貸付金などの貸倒損失
車両関係費 自動車に関係する経費※
雑費 事業上の経費で他の経費にあてはまらない経費